第18章 とある民族学者の論考 Ⅱ
1929年4月28日
アンネと別れてもう半年以上経つ。彼女はまだ戻らない。
何かあったのだろうか。
心配だが、彼女は強い女性だ。
きっと大丈夫。
研究論文の執筆は順調に進んでいる。
完成したら彼女に一番に読んで欲しい。
私は最近、大学で教職に就きたいと思い始めた。
そうすれば、研究も続けることが出来るだけでなく、得た興味深い知識を他者と共有し広めることも出来る。
新たな知識を得る喜びと興奮を多くの人と共有したい。
長い道のりになりそうだが、アンネのことを想えばどんなことでも乗り越えられる。