第15章 念×ノ×覚醒
「ヒソカって……もしかして奇抜な格好してる?ピエロみたいな」
「はい。知り合いなんですか?」
「いや、天空闘技場では有名な選手だから。試合を観戦したことあるが……あんたが敵うような相手じゃない。少なくとも今はな」
「つまり、ヒソカに勝てるほど強くなれる可能性が少なからずあると!?」
「無くはないが、念が使えても実践技術の差が大きいからなぁ……正直厳しいだろう」
ヒソカは念の使い手だったのか。
渾身の一撃が効かなかったのはそのせいだと言われた。
そして、やはりヒソカは只者ではなかった。
「あいつは笑いながら人を殺す、極めて危険な変質者だ。念を習得出来たとしても、やっぱり行かせるわけにはいかない。天空闘技場へ行くよう言ったのは、あんたと戦いたいからだろう。念を覚えさせた上でな」
ヒソカと対戦するのは嫌だが、これは試練なのかもしれない。
「怖いから」という理由で逃げるのはもう嫌だ。
念の使い手になって、人を小馬鹿にしたようなあの顔に一発お見舞いしてやりたい。
きっと爽快だろうなぁ……へへッ。
「姉様お願いします!強くなりたいのです!!」
私は床に額を押し付けて土下座した。
頭を下げる勢いが良過ぎて額を強打してしまったが、今は痛みを感じている暇どない。
姉様の許しを得なければ。
「……真面目に修行して、私が戦えると判断出来たら許そう。何年も先になるかもしれないぞ?それでもやるか?」
「精一杯頑張ります!現在、私がヒソカに勝てる確率はどのくらいですか?」
少し気になったので聞いてみた。
「ゼロだな。一方的にいたぶられてお終い。あいつはまだ楽しめると思った相手は生かしておき、それ以外は容赦なく殺す。生かした人間も結局はいつか殺すため。カストロという選手がそうだ。強くなると見込まれて生かされたが、次戦う時は殺されるだろうな」
ヒソカは思っていた以上にヤバい奴だ。
戦かった場合、その場で殺されるか、いつか殺すために生かされるかのどちらか。
どちらも嫌だが、もう後には引けない。
エッダ姉様に鍛えてもらえるのだからきっと大丈夫。
「私は、今までの対戦相手のように、あんたがヒソカになぶり殺されるのだけは見たくない。手加減なしでいこう」
「はい!」
いつか、ヒソカを目の前にしても余裕の笑みを浮かべていられる日が来るように頑張ろう……
