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覇者×ト×敗者

第15章 念×ノ×覚醒


姉様はずっとウボォーギンという男を探していたのか。
そして今もまだ探し続けている。
村でこんな出来事があったなんて夢にも思わなかった。
同胞から排斥されたウボォーギンと母様のことを思うと、胸が締めつけられて苦しくなった。

「姉様、私にも捜すのを手伝わせて下さい!」

「それは同胞への裏切りにあたる。私はもう故郷を捨てたも同然だからいいが、あんたは違う。婆様や母様達が知ったら……」

「追放されたって構いません!私は……兄様に会ってみたい」

「………ありがとう。ニーナ」

姉様は目を見開いた後、少し悲しそうな表情で微笑んだ。

「さ!この話は終わり。あんたのこれからについて話そう」

姉様が明るい調子で強引に話題を変えた。

「ニーナはハンターになったけど、まだ半人前だよね?」

試験ってまだ終わってないんだっけ。
姉様は師匠と出会い、修行を経て一人前へと成長した。
と、言うことは……

「裏ハンター試験を始めるか!」

「嫌です」

「………は?」

「嫌です」

「………」

やっとあの緊張感から解放されたというのに……
これからは兄様を捜しながら自由気ままに旅をしたい。
姉様の話に出てきた“念能力”。身に付けるのは容易ではなさそうだ。
ただ身体を動かすだけなら良いが、頭を使うのは嫌だな。
それに、これからの予定はもう立ててある。
断る理由があれば姉様も諦めてくれるだろう。

「お金を稼ぐために天空闘技場へ行かなければならないので、裏試験を受けるのは無理ですねぇ……」

「なら尚更、念について知ってもらう必要がある。断るなら天空闘技場へは絶対に行かせない」

姉様はどうしても私に“念”というものを知って欲しいようだ。
困ったな……

「せっかくあんたと一緒に過ごせると思ったのに……」

「え?」

「あんたの師匠になりたかったのに……」

姉様は俯いて悲しそうに呟いた。
そんなに私と一緒に過ごしたいの……?
やっと再開出来たのに、直ぐにお別れというのも寂しいし……

「……姉様が、そこまで言うなら」

姉様がパッと顔を輝かせた。
悲しんでいたことが嘘だったかのように、一瞬で表情が変わった。


………もしかして、演技?


「みっちり仕込んでやるから覚悟するんだよニーナ!」

「……はい」


_____やられたッ!!
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