第13章 道しるべ
「その、残留思念といのは……」
「残留思念とは、人が強く何かを思った時に、その場に残留するとされる思考や感情の事だわさ」
ビスケが何を言っているのかさっぱりだ。
「誰にでも見えるものじゃない。見える人間の中には、残留思念を霊的な何かだと思っている者もいる。しかしそれは霊ではなく、残像だ。本体が移動した後、池の水面に映ったまま残ってしまった姿の様なもの」
そういう事だったのか。
私が追っていたのは、皆の残留思念だったのか……
「あんたハンターだね。でも、まだ半人前ね〜」
確かに、ハンターになって日は浅い。
……よくよく考えたら、どうやって経験を積んでいけばいいのか分からない。
「エッダ、あたしがあんたを鍛えてやる!」
「………え?」
「一人前にしてやるって言ってるんだわさ!返事は!」
「は、はい!」
こうしてビスケは私の師匠となった。
修行は厳しかったが、楽しくもあった。
無事裏試験に合格し、念能力を習得する事も出来た。
「これであんたもプロハンターね!でもいいこと、日々鍛錬を怠るんじゃないよ!」
「はい!ありがとうございました!」
ビスケと別れた後、天空闘技場のある街へ行く事にした。
そこで人捜しの商売でもしよう。
なぜ天空闘技場の近くかというと、アマゾネスが強い男に出会う格好の場所だから。
そこでは念による洗礼が行われると知った。
なので、何も知らずに天空闘技場へ来る姉妹(きょうだい)達が洗礼を受けない様に見張らなければ。
ウボォーギンと母様を探すのは、手掛かりが見つかるまで、少し休む事にした。
私の念能力でウボォーギンと母様を捜そうとしたがダメだったからだ。
念能力を得る過程で残留思念が見えなくなってしまったので、今までの捜し方も出来ない。
なかなか上手くいかないものだな____