第13章 道しるべ
「お主達の最初の試練はこの魔境を抜ける事だ。例え魔境を抜ける事ができてもその先にはあらゆる試練が待ち受けているだろう。命を落とす者もいるだろう。しかし、例え死が待ち受けていたとしても、最後まで強く、逞しいアマゾネスであれ!よいな!」
「「「「はっ!」」」」
ついに旅立ちの時が来た。これで探しに行ける。
………はずだった。
当時は気付かなかったが、村の中には無数の道しるべが漂っている。
中央広場から伸びていた、ウボォーギンと去った母様の道しるべを辿ろうにも、途中から他のものと混ざって分からなくなってしまう。
全て村の出入口へ集まるが、その先からは四方八方へとのびている。
これは片っ端から探していくしかない。
海や空に伸びる煙を見失わない様に、船や飛行船に乗っている時も気が抜けなかった。
街に着くと、故郷よりさらに多くの道しるべが漂っていた。
今辿っている道しるべと、他の関係ないものと見間違えない様に注意しなければ。
それに、道しるべが終わるのも突然だ。
毎回そうなので仕方なく辺りを捜索してみると、村へ帰ってこなかった母様や姉様の何人かと再開する事が出来た。
死んだか、未だに強い男を求めて旅をしているのかと思ったが、どうやら違うらしい。
男と恋に落ち、故郷へ帰らず外の世界に残る事を選んだのだという。
恋がどんなものかは知らないが、彼女達が元気そうで良かった。
再び違う道しるべを辿るために故郷へ戻るのだが、これが辛い。
村を発って数ヶ月経った頃から、ニーナが入口付近に立っている姿を見かける様になった。
初めて見た時は偶然そこにいただけだと思っていたが、村へ戻る度に見かける。
あんな所で何をしているのか気になり、一度だけ気配を絶って近付いてみた。
「またここにいたのかニーナ。エッダ姉様はそんな直ぐには帰ってこないだろ」
「そうそう。まだ当分先だと思うよ」
「分かってる。けど……」
あの顔……寂しいのか。
セラとジェンの発言から、ニーナはここで私の帰りを待っているのか。
訓練で忙しいはずなのに……
あの村の中へ足を踏み入れる事は、もう二度とない私。
村の近くまで来ると、毎回私の帰りを待つニーナの姿が目に入って胸が痛んだ。
すまないニーナ……
心の中で謝罪し、新たな道しるべを辿るためにその場を去った。