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【YOI夢】ファインダー越しの君【男主&オタベック】

第4章 エピローグ


駅を出た守道は、丁度停まっていた1台のタクシーに乗り込んだ。
自宅までは1メーター程なのだが、今のオタベックを人目に晒したくなかったので、早口で運転手に行き先を告げ、車が走り出すのを認めると、息を吐きながらシートに身を預ける。
すると、
「痛い」
「え?あ…」
遠慮がちにだが隣から苦痛を訴えてきた声に、守道は駅で再会して以降、ずっとオタベックの手を繋いだままな事に気付いた。
「すまない、大丈夫か?」
「ん…」
珍しく慌てた様子で手を離した守道は、俯き加減にそれまで自分に握られていた手を、反対の手で擦っているオタベックの横顔を眺めていたが、オタベックが顔を上げた所で咄嗟に視線を反らす。
そのまま自宅まで無言で車に揺られていたが、窓の外に顔を向けていた守道は、オタベックが自分と繋いでいた手を、こっそり頬に当てていた事を知らずにいた。

「それにしても、いきなりこんな所まで…もしも俺が出かけて留守にしてたらとか、考えなかったの?」
「きっと今日の貴方は、家にいるだろうと思ったから」
控え目な声で図星を指された守道は、苦虫を噛み潰したような顔をする。
「…迷惑だったのか?」
「そうじゃないけど…会うのは、オフになってからでも良かっただろう」
「ワールドが終わったから、もうオフだ。折角日本にいるのだから、貴方に会いたいと思った。貴方が俺の画像を寄越してきてからは特に…それはいけない事か?」
じっと見つめてくるオタベックの眼差しに、守道は参ったといわんばかりに頭を掻いた。
「ちょっと訊くけど、君日本での予定は?」
「明日は、夕方にカザフ大使との会食があるけど、今日は1日休みだ」
「そう」
「コーチ達にも、『ロシアで知り合った日本の篠大使の子息がいる東京の彼の家へ行く』と言ったら、割とスンナリOKしてくれたし」
「ふぅん…ゑ!?」
守道がらしくもない声を上げると同時に、リビング横の自宅の電話が鳴り響く。
「篠でございます!…ロシア語で大丈夫です。はい、私は…」
かつての大使公邸での言葉遣いで暫く応対していた守道は、やがて電話を切ると、
「…忘れてたよ。君が『カザフの英雄』だという事を」
目を丸くさせているオタベックを前に、口元を皮肉げに歪めながら深い溜息を零した。
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