【YOI夢】ファインダー越しの君【男主&オタベック】
第4章 エピローグ
昨日は夜遅くまでTV画面とカメラにかかりっきりだった守道は、昼前になってやっとベッドから身を起こした。
両親と次兄が海外に赴任している現在、都内の実家には内地勤務の長兄家族が住んでいるが、彼らが子供達の春休みを利用して旅行に出かけており、守道が単身留守番をしていた。
始めは、兄家族の団らんの邪魔をするのは抵抗があり、京都の大学を卒業した後も実家に戻るのを渋っていた守道だったが、「大学時代もロクに戻ってこなかったのだから、次の進学先に行くまでの間位家にいろ」と、兄2人と両親達に釘を差されたのだ。
幸い理解のある義姉や甥姪達にも懐かれていたので、それ程肩身の狭い思いをしないで済んでいるが、やはり独りの方が気楽である。
だらしなく欠伸を1つすると、守道は未だ眠い目を擦りながら、キッチンからイタリアンローストの豆を取り出し、コーヒーメーカーにセットした。
ピーテル留学中は、紅茶ばかりであまり美味しいコーヒーと縁がなかった反動か、日本に帰国してからの守道は、もっぱらコーヒー党に傾倒しつつある。
ダイニングテーブルに腰掛けて、マシンから漂ってくる香りに目を細めていた守道だったが、その時傍らのスマホからコール音が鳴った。
「やあ、おはよう。もう昼だけど。どうしたの?…って、は!?」
画面を確認した守道は、内心僅かな照れ臭さと共に応答ボタンを押して、努めて平静を装いつつ話を始めたが、間もなく素っ頓狂な声を上げると、慌ただしく自室のラックから上着を引っ張り出した。
上品なカップで出されたレモンピールとクリームの入ったコーヒーの香りを堪能する余裕もないまま、オタベックは上目遣いで自分の対角に腰を下ろした守道の渋面を盗み見ていた。
「何で君が、俺の実家の最寄り駅知ってんの?」
「サユリに聞いた」
「…そもそも、何でこんな所に1人でフラフラしてるんだよ!?」
「フラフラなんてしてない。俺は、目的があってここに来たんだ」
電話の後で家を飛び出した守道は、メトロの駅構内の片隅で、キャスケット帽を目深に被り人混みを避けるように佇むオタベックを見つけると、足早に駆け寄り彼の手を力任せに引いて、連れ出したのである。