• テキストサイズ

【YOI夢】ファインダー越しの君【男主&オタベック】

第3章 公私の国交


掌と頬に伝わる互いの温度に、守道とオタベックは不快とは程遠い心地好さを覚えていた。
その内に、頬に当てられた守道の右手と背中に回されていた左手が、オタベックを更に引き寄せて来たが、
「…っ」
顔を背けたオタベックの、羞恥と僅かに見て取れる怯えた表情に気が付いた守道は、動きを止める。
数秒の間を置いてゆっくりと身体を離すと、至極厳かな声で言った。
「ご無礼を、お許し下さい。今宵の大切な客人で『英雄』の貴方に、して良い事ではありませんでした」
「…そういう口上で逃げるのも、どうかと思う」
頭を下げた守道に、オタベックは赤みの引かぬ顔のまま返す。
「いや、だってここ大使公邸だし。仮に合意の上でもするなら俺の部屋か君の…って、何言ってるんだ俺は…」
困ったように頭をかく守道を見て、ついオタベックは吹き出す。
クスクスと笑い続けるオタベックを見ている内に、いつしか守道も忍び笑いを漏らしていた。
「貴方とは、これから写真も含めてもっと色々な話がしたい」
「え?」
笑いを収めたオタベックは、再び視線を守道へと向ける。
「だけど、今はまだやるべき事があるから…」
「そうだね。まずは、出来るだけ身体を休めた方が良い」
「全ての試合に出るのは無理だろうけど、ナショナルとワールドだけは…あ、そうだ」
何かを思いついたような顔をしたオタベックは、再度守道との距離を詰めると、人差し指を立てた。
「貴方は、何処かフィギュアスケートに対して食わず嫌いな所がある。会場でもTVでも、一度ちゃんと試合を観た方が良い」
「それなら、昔ジャパンナショナルで純先輩の現役最後の演技を…」
「確かにサユリの演技も素晴らしいとは思うが、今の国際競技会はまともに観た事がないだろう!?ナショナルの比ではないのだぞ!」
守道の口から真っ先に出た純の名に、何故か苛立ちを覚えながら、オタベックは畳みかけるように続ける。
「ワールドは、文字通りスケートの世界一を決める大会だ。各国の名だたる強豪達が、優勝を目指して火花を散らす。勿論、俺もその中の1人のつもりだ」
アスリートの顔つきになったオタベックに、守道は眩しそうに目を細めた。
/ 40ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp