【YOI夢】ファインダー越しの君【男主&オタベック】
第3章 公私の国交
「…それで、貴方の写真は見せてくれないのか?あの日も初めて会った日も、無断で俺を撮ってたクセに」
「え…?ああ。流石に現物はここにないけど、データ化したものがスマホに入ってるから、それで良ければ見るかい?」
「見る。というか、俺の良からぬ画像がないか確認させて貰う」
ポケットからスマホを取り出した守道は、画像のフォルダを開いた。
守道のスマホを受け取ったオタベックは、建造物をはじめとした風景の画像に紛れて自分の写っているモノを見つけると、無意識に目を見開いた。
撮影会で『100年前のセルフィー』をリスペクトした時のものだけでなく、いつの間に撮られていたのか、競技や普段とは全く異なる自然体な自分の姿があったからだ。
「腹立たしいが…貴方の撮影技術だけは、認めざるを得ない」
「モデルが良かったからね。俺、人物の写真はあまり撮らないんだけど、君の事は不思議と追いたくなったんだ」
「そういう調子の良い事を、これまで何人の女性にしてきたのだろうな。おまけに今回は相手を間違えているし」
「間違えてないさ」
照れ隠しの発言に対し、守道から返ってきた至極真面目な声を聞いて、オタベックは胸を躍らせる。
言葉と同じく真摯な彼の眼差しに、反射的に顔を背けようとしたが、いつの間に接近していたのか肩に回されていた守道の右手に阻まれた。
「正直、俺も君に会いたかった。だけど、あんな別れ方をしたし、一国の『英雄』の君と俺とでは釣り合わないから、諦めていたんだ」
「貴方だって、一国の要員の子息じゃないか」
「確かに、父親とカザフ大使のお蔭でもう一度君に会えたけど、俺は…」
「俺もリンクを下りれば1人の人間だ。それとも貴方は、『スケーター』『英雄』ではないただの俺には興味がないというのか?」
「いや。むしろ俺は、そっちの君の方が良いかな」
いつもの斜に構えたそれとは違う守道の表情に、オタベックは、思わず持っていた彼のスマホを取り落とした。
ベッドの上にスマホが転がったのも気にならぬ程、2人は見つめ合う。
やがて、守道の手が肩から左頬に移動すると、オタベックはあの時を思い出して息を呑んだ。
「やっぱりだ。君の頬は、温かいね」
「…貴方の手が熱いんだ」
努めてぶっきら棒に返すものの、オタベックは益々頬を紅潮させた。