【YOI夢】ファインダー越しの君【男主&オタベック】
第3章 公私の国交
夢物語のような叔父の言葉に苦笑しながら、オタベックは心の何処かでそれが実現すれば良いなとも考えていた。
もしも、もう一度彼と出会うような事があったら。
だが別れ際の事と、スケート関係者ではない彼と再会する可能性は極めて低いだろうと、自身の忙しさもあってユーリ経由で入手した彼のアドレスに連絡する勇気が出なかった。
だからこそ、思わぬ形で巡り会えた事を密かに嬉しく思っていたオタベックは、守道の言葉を聞いている内に、怒りとそれ以上の哀しい気持ちに苛まれていたのである。
「俺は、貴方にまた会いたいと思っていた。減らず口の貴方に言ってやりたい事があったし、貴方ともっと写真について話したいとも思っていた。貴方は、そんな俺の気持ちもただの社交辞令だというのか!?滑稽だとでも言いたいのか!?」
「ち、ちょっと落ち着けって!」
感情むき出しで詰め寄ってきたオタベックに、流石の守道も狼狽した。
無意識にオタベックの身体を押し返そうとしたが、彼の腰の事を思い出すと、思わず動きを止める。
「あ…?」
「危なっ…くっ!…っとと…ぶわっ!」
全身の均衡を崩した守道は、ふらつきながらもベッドの方まで移動すると、オタベックを支えたままベッドに倒れ込んだ。
スプリングの利いたゲストルームのベッドに助けられた2人は、半ば横抱きの状態で見つめ合う。
「…っ」
怯えの色を隠せないでいるオタベックの表情に気付くと、守道は、あの時の事を思い出したのかと身体を離した。
「ゴメン。君が怪我をしてるの忘れてた」
「いや、俺もつい感情的になって…」
守道の謝罪に、オタベックは呼吸を整えながらゆっくりと身を起こす。
微妙に距離を空けた状態でベッドに腰掛けながら、2人は互いの様子をこっそりと窺っていた。
「…ったく、妙だよな。ファインダー越しに見てた時は、君の気持ちが今よりずっと判ったのに」
「そんなの…貴方だって同じだ」
「正直、驚いた。年代物のカメラを前に浮足立ってたとはいえ、君にあんな無防備な姿を撮られていたとはね」
「何故、それを?」
「主催者がお節介で、俺の分も焼き増ししてたんだよ。悔しいが…良く撮れてると思ったよ」
苦笑交じりの呟きに、オタベックは嬉しさその他が綯い交ぜとなった感情に心を揺さぶられ、うっすらと頬を染めた。