【YOI夢】ファインダー越しの君【男主&オタベック】
第2章 グレースケールではないモノクローム
「…貴方の減らず口には付き合ってられない!それと、俺は別にサユリに妙な懸想を抱いているとか、そういうのではないからな。…もしもサユリが女性だったら、モロに理想のタイプだから、玉砕覚悟でアタックしたかも知れないが」
「ふーん。でも、純先輩が女性だったら、同性からのやっかみが半端ないだろうね」
ついムキになりながら返したオタベックだったが、当の守道は、小憎らしいまでに平然とした顔でこちらを見つめていた。
「あの人、年の離れたきょうだいの末っ子で、みそっかす扱いされてきたから、年下相手にやたらお兄ちゃんぶるトコあるけど、いざプライベートとなると、自分を甘やかしてくれる相手じゃないとダメなんだよ。過去に付き合ってた女性も、みんな年上か同い年だったし」
「…」
「だから、先輩にとって年下は最初から恋愛対象外ってヤツ。まあ、コーチだったヒゲオヤジとくっついたのは予想外だったけど」
「では、貴方も対象外だったのだな」
「…うるさいよ」
ヒゲオヤジ、という単語に若干の感情が含まれていたので、仕返しとばかりに言葉をぶつけてみると、守道から拗ねたような返事が来た。
クスリ、と笑声を漏らすオタベックを横目で軽く睨んだ守道は、黙々と作業に集中した。
薬品や容器の洗浄・片付けをしながら、守道は処理の終わったフィルムを乾燥場所に吊るすオタベックの後ろ姿を、こっそりとスマホのカメラに収める。
日本と違ってシャッター音が鳴らない事を有難く思っていると、不意にオタベックがこちらに向き直った。
「貴方は、どさくさに紛れてどれだけ勝手に俺の写真を撮ってるんだ!」
一瞬、今のがバレたのかと思った守道だったが、吊るされたフィルムを指しながら眉根を寄せている彼の姿に、安堵しながらも宥めようとする。
「いや、お世辞抜きで良い被写体だったからつい、ね。流石はカザフが誇るアスリート様だ」
「心にもない世辞はいい!先日のもそうだし、俺の知らない所で俺の内面を暴くような真似は止めて貰おうか!」
「ちょ、落ち着け…っ!?」
気恥ずかしさから声を荒げるオタベックの背後で、立て付けの悪い棚から何かが落下するのを認めた守道は、咄嗟に手を伸ばして彼を引き寄せる。
直後、派手な物音が2人のすぐ近くで轟いた。