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【YOI夢】ファインダー越しの君【男主&オタベック】

第2章 グレースケールではないモノクローム


「でも、良かったよ。朝見かけた時は、少しだけ元気がなさそうだったから」
しかし、続けられた守道の言葉に、不覚にもオタベックは鼓膜とそれ以上に自分の感情を揺さぶられた。
面倒見の良い『サユリ』こと純とは異なるが、この男は、人を見ていないようで意外と良く見ている。
「あ、貴方とサユリは、同じ日本人なのに言葉遣いが違うのだな」
自分の事を見透かされたくない想いから、オタベックは唐突に話題を振る。
「ああ、生まれも育ちも京都の純先輩とは違って、俺は東京出身だからね」
「何故、京都に?東京なら大学が沢山あるのではないか?」
「痛い所突くなあ。俺、大学受験の時1回浪人したんだよ。そんで、2回目の受験は誰も知り合いがいない京都を選んだんだ」
参ったな、と言わんばかりに守道は頭をかきながら答えた。
そんな守道の表情を眺めていたオタベックは、先日の事を思い出すともう一度口を開いた。
「貴方は、サユリがスケートを選んだ事が不満かも知れないが、俺は今のサユリの優しさと強さは、スケートあってこそのモノだと思ってる」
「…?」
「俺達スケーターにとって、怪我は常に隣り合わせだ。どんなに気を付けていても起こってしまう事がある。サユリの怪我は、スケーターとして致命傷に等しいものだった」
例え軽傷でも、故障から復帰したスケーターがもう一度氷の上に乗り、特にジャンプを飛ぶ時は、相当の恐怖に駆られるという。
いつもより饒舌になりながらも、オタベックは純に対する素直な気持ちを言葉にし続ける。
「だけどサユリは、最後まで競技者としての自分を貫いた。俺がサユリに惹かれた一番の理由は、スケートを通じた彼の強さだ。彼の笑顔は、幾多の修羅場を乗り越えた者だけが出来る笑顔だから…」
「それで?」
殊の外淡々と返す守道に、オタベックは一瞬だけ言葉に詰まったが、
「だから、貴方がスケートに対して否定的なのが、サユリ本人まで否定されているような気がして嫌なんだ」
「…成程。つまり、俺の純先輩への気持ちはどうでもいいって訳か」
「そういう意味ではない!俺は…」
「すまない、今のはただの嫌味だ」
間髪入れずに謝罪が来たので、オタベックは思わず舌を止めた。
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