第13章 鯉登家にお泊まりに行こう
「あー疲れたー……………」
誘拐事件も解決しては函館にある宿に宿泊することにした。
宿の従業員に案内された一室に荷物を置くと、は畳の上に寝転んだ。
(そういえばあのクソヤローの会わせたかった人って誰だったんだろ?
このまま何も言ってこなかったら東京にしれっと帰っちゃおうかな………?)
疲れからかそのまま微睡む。
「勇作ー!!」
ズバンッと部屋の襖を勢いよく開けたのは音之進だった。
突然のことで驚き、起きる。
「荷物を持って着いて来い!」
「何で???」
音之進の発言には首を傾げた。
「おいん家に泊まれ!!」
「え???
何で??????」
はますます困惑した。
「友ちゆたぁお互いん家に泊まったりすっとじゃろ?
勇作がはいめっ(初めて)できた友じゃっでおいん家に泊まりけ来え!!」
そう言った音之進の瞳はキラキラと光っているように見えた。
(前世で鯉登少尉って友達いなさそうって思ってたけどまさか本当にいなかったとは…………)
は自分のおでこに手を当ててどうしようかと考える。
「ダメか?」
ズキューンッ
音之進の涙目+上目遣いに何かに撃ち抜かれたような衝撃がの体に走った。
前世からの好みは月島のような頼れる歳上の男だったが、音之進が無意識にした仕草で新たな扉が開いてしまった。
「行こう!
鯉登くんのご両親が良ければ行こう!!」
は荷物をすぐにかき集めて持つと音之進の隣に立つ。
すると何故か音之進が頬を膨らませて拗ねている。
「鯉登くん?」
は音之進の様子に首を傾げる。