第13章 かしゅがやま
「...もしかして雪月ちゃん、兎達の言葉解るの?」
「?あい!」
(考えてみれば雪月ちゃんは半分ポケモンだし...動物の言葉が解るのも不思議じゃない、か...)
謙信の胡座の上で兎をもふもふする雪月と謙信を眺めながら佐助は静かに考察していた。
更に、驚くことが起こる。
「は?」
突然の上司の戸惑ったような声に、佐助は考察を一旦中断させた。
「...え?」
思わず佐助も戸惑ったような声が出た。
何故かと言うと、今の今まで謙信の胡座の上にいた筈の雪月の姿が消え、替わりに...
「こぉん」
小さなアローラロコンがお行儀良く謙信の胡座の上にお座りしていたのだ。
「え...雪月、ちゃん?何で変化したの?」
「?」
どうやら本人(本ポケ?)も良く解っていない様子。
「...まだ幼いから、制御が上手く出来ないって言うところかな」
「そーなのか?」
「確信は持てないけど、多分そうだと思う」
「こぉん♪」
兎達と戯れるRFロコン。
ちょっと慌てる年少組に対して、大人組はというと...?
「ほぅ、人間の姿も愛らしいが、この姿も愛らしいな」
「あ、おい!」
謙信の膝からポケモンの姿の雪月を抱き上げ、又々自分の胡座の上に座らせる信玄。謙信は不満げな声をあげた。
「よしよし、姫君の毛並みは美しいな、まるで絹みたいだ」
「...こぉ~ん」
優しく、雪月の身体を撫でる信玄。三成や信長とも違う大きな手の心地好さに、雪月はうっとりと目を細めた。