第16章 世間は狭い
「なぁ…あや」
「なに?」
「お前の知り合い、アイドル科の嫁さん多くないか?」
家に帰って、一緒に風呂に入ってる時に気になっていたことを聞いてみた。守沢や仁兎、他だと青葉に斎宮の嫁さんは結婚式に一緒に行った時に知っていたが、三毛縞の方は結婚していたことすら知らなかった。それをあやが知ってたことに驚いたくらいだ。さすがに鳴上の場合はあやも知らなかったようだが。
「あー…そうだね。同期だったら朔間先輩、羽風くん、瀬名くん、月永くん、天祥院くんと日々樹くんくらい?」
自分の髪を洗い終えて、身体を洗いながら応えるあやに俺は更に疑問を聞いてみた。
「待て、天祥院はメディアに出てたから知ってたが、他の奴らも結婚してたのか?」
「知らなかった? 私はみんなから結婚式の招待状が来て知ってたけど?」
「マジか」
「仕事もあったから全部は無理だったけどね」
そういや、やけにあや宛にそういった招待状が来ていたような気が…結婚前にもスケジュール帳となにかを見合わせているところも見ていたが、あれは結婚式の招待状だったわけか。
にしても、ほとんど同期の嫁さんとダチであることに驚きしかない。普段は守沢や仁兎の嫁さんとよく会ってたからそれだけだと思っていた。
「みんな結婚しても仕事してるからなかなか揃って会えないの」
「そりゃ大変だな?」
「でも、頑張れば個々で会えるし、たまにお店にヘアカットしに来てくれるとか自営業してる友達のところに集まるくらいかな」
なるほど、こうして嫁さんたちの友達付き合いは絶えなかったわけか。まあ、1人で溜め込むよりダチと話してストレスを発散してくれる方が健康的か。
「その代わり忙しい子はなかなか出てこれないんだけどね。花音ちゃんも作家さんだから引きこもりがちだし、天祥院くんのところは休む暇があるのかってくらい忙しいし」
「あやも忙しいだろ。仕事終わっても研修とか指導とか」
「んー、私は最近落ち着いてると思うよ?」
俺から見てもあやは忙しいと思う。仕事で一緒になった鳴上に聞けば、あやはスタイリストの中でもたくさん指名をもらい、日々予約で埋まっていて、飛び込みは稀にしか受付できないらしい。それに研修や新人の指導で夜遅くに帰ってくることも多い。