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かぐや月

第13章 のんでのまれ



「そりゃ、俺だって桜乃ちんとしたいよ…したいんだけどさ…仕事がさー…」
「仕事が忙しいのはわかるけどよ、お前の同僚だってやってんだぞ?」
「き、鬼龍!? 何故、そこで俺を指すっ?」
「そりゃあ、仁兎と同じ仕事してるお前の嫁さんが出来てんだから仁兎だって出来るだろ」
「ふぇ!?」
「そ、それはそうかもしれんが…うちの場合、約束してるようなものだからな…」
「約束?」
「あぁ、お互いのオフの前日にな、まっすぐ家に帰ることにしている。で、一緒に過ごしてるうちに自然とな…」

 守沢に聞いてみれば、案の定顔を赤くして正直に応えてくれた。聞いてきた仁兎も顔を真っ赤にしている。

「てなわけだが、仁兎、どうすんだ?」
「そ、そんにゃ、言わりぇてもだな…」
「そこは雰囲気に任せてみたらどうかな?」
「雰囲気って言ったってな…あや、お前いつから横にいた?」
「「…!?」」

 気づけばあやが俺の隣で首を傾げて座っていた。今日はダチとの呑みだからかいつも以上に着飾っているからさらに綺麗に見える。それにほんの少し顔が赤い。

「御手洗に言ってたら声が聞こえたから、覗いたら本当にいたから来てみたんだけど、だめだった?」
「「…!?」」
「それはいいけどよ。どっから聞こえてた?」
「守沢くんが叫んでたあたり? 多分、美咲ちゃんたちにも聞こえてたかも?」
「お、俺は…もう今日は帰れん…」

 守沢が落ち込んでいるとあやが首を横に振って言った。

「美咲ちゃんが寂しがるからやめて? お泊まり会でいつもお酒飲みながら泣いちゃうから」
「んなっ!?」
「あー…そういや、お泊まりしてたな。俺らが泊まりの仕事してる時とかに」
「仁兎くんも。桜乃ちゃんはうさぎさん以上に臆病で心配性なんだからリードしてあげて。いつも別れられたらどうしようって言ってるんだよ?」
「んにゃ!?」

 普段のあやなら周りのことで内緒にした方がいい話はこういうとこで本人を前に言わない。恐らく酒を飲んでしまっている。ただ、いつもなら酒を飲むとすぐに眠ってしまうだが、何故か今回はかろうじて起きている。
 あやは普段から酒は飲まないようにしてるが、大方飲み物を間違えて出されたのだろう。で、気づかずに飲んでしまった可能性が高い。
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