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かぐや月

第9章 年明け


「あけましておめでとうございます」
「今年もよろしくお願いします」

 朝は正月の挨拶をしてから妹にお年玉を渡し、御節とお雑煮を食ってから家族全員で着物を着た。先に俺は父ちゃんの着付けを済ませてから自分の方をした。で、あやと妹の様子を見に行くために妹の部屋に向かった。

「入るぞ」
「あ、紅郎くん。もうすぐ支度終わるからね」
「おー。その間にあやの髪もやっちまうからな?」
「お願いします」

 妹は振袖、あやは留袖を着ており、あやは袖をたくし上げをして妹の髪をいじっていた。妹はどうやらネイルもしてもらったようでさっきから指先を眺めてはにやけている。机にはあやが持ってきた数々の髪飾りや化粧道具が広げられていた。
 微笑ましい光景を眺めつつ、俺もあやの髪をいじるために櫛を手に取った。あやは髪が長いから、髪を編み込みにして後ろはまとめよう。それから髪飾りで飾り立てよう。

「すげぇ微笑ましい。うちの子たちまじオアシスだわ」

 俺たちが支度をしている間暇になった父ちゃんにスマホで写メを撮られていることに気づいたのは後でスマホを見た時だった。
 家族全員の支度が終わると家の前で家族写真を撮って、俺たちは近所の神社に初詣に向かった。でかいところは混んでるし、近所の神社でも屋台はあるから楽しむことはできるだろう。俺は一応眼鏡をかけるが。

「全員足元気をつけろよ」
「大袈裟だな、兄貴は」
「でも、下駄って歩きなれてないと危ないから気を付けないとだめだよ?」

 参拝を済ませて、おみくじを引くことにした。家族全員、凶がなかったからひとまず安心した。

「あ」
「どうした?」
「…安産」
「……」
「てことは、今年は孫に期待していい?」
「マジか」
「いや、まだ決まったわけじゃないからな? 欲しいけど」
「頑張れよー」

 たしかに俺のおみくじにも子宝のところは安産って書かれていたけど、まさかあやのところにも書かれているとは思わなかった。

「紅郎くん、たこ焼き食べる?」
「おぉ、食う」
「はい」
「ん…うめぇ」

 家族で屋台を回りながら腹を満たした。あやに食べさせてもらったりしていると父ちゃんが写真を撮ったり、妹が自分もと強請って食べさせてもらってた。
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