• テキストサイズ

かぐや月

第1章 焦がれるは…


ロケは順調に進み、1日早いが帰られることになった。明後日は元からオフだったが、明日もオフになった。
今日も泊まってもよかったが、紅月は全員結婚しているから皆早く嫁さんのところに帰りたい気持ちが強かった。

「そういや、連絡したか?」
「先程メールを入れたが、見る頃には俺が先に帰ってるだろうな。嫁も忙しいからな」
「我は連絡せん」
「珍しいな? いつも何かありゃ連絡してるじゃねぇか」
「以前、妻が出張に行った際に予定より早く帰ってきて驚かされたのだ。こちらは帰りに合わせて好物を用意しようとしていたのに」
「なるほど。仕返しか…」

帰りの新幹線で話していたら、俺も連絡しないで嫁さんを驚かせてみたくなった。あと、1人だとどう過ごしているのか見てみたかったのもあった。
蓮巳と神崎と駅で分かれて、俺は家に帰った。玄関の鍵は閉まっていて、まだ帰っていないのかと思って鍵を開けるとリビングのガラス戸から明かりが漏れていた。どうやらもう帰ってきて、ちゃんと戸締りをしていたらしい。

「…先に洗濯物入れるか」

玄関のすぐ側に洗面所があるから先に洗濯物を回してしまうことにした。
いつもなら帰るとリビングにいても、すぐに顔を覗かせてくるが今日はなかったな。飯でも作って来れなかったのか、寝てるのかそれとも…
疑うようなことばかり考えてしまうのは性にあわない。それに今日は驚かせると決めたはずだ。
洗濯機を回してから、意を決してリビングに入ることにした。

「ただい、ま…」
「…え、え?」

リビングに入ると、テレビは紅月のライブツアーの映像が流れていて、テーブルには紅月のこれまでライブのディスクケースが何枚かとお茶の入ったマグカップと夕飯なのかサンドイッチがいくつか乗っていた。で、俺の眼下には間違っていなければ俺のカーディガンを着て、前に限定発売された俺のまんじゅうクッションを抱えてい座っていた。しかもカーディガンの下は見たことないワンピースで、まんじゅうクッションに乗ってる胸元がエロく見える。ただでさえ嫁さんは巨乳だから尚更だった。

「あー…その、ロケが早く終わってな…驚かそうと思って言わないで帰ってきた…」

テレビと俺とカレンダーを交互に何度も見て事態を認識できていない嫁さんに説明すると、頭の回転が早い嫁さんは理解した途端顔を赤くしてまんじゅうクッションに顔を埋めてしまった。
/ 63ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp