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ゆるやかな速度で

第6章 4.決断


私が返事できずにジッと白石くんを見つめていると段々と白石くんも自分の話した内容に恥ずかしくなってきたのか頬が少しだけ朱に染まっていた。

「その…なんやくさいセリフ言ってもうたな…」

ハハッなんて誤魔化すように笑う。
そんな彼を見て、段々と私は自分の中で踏ん切りがつかなかった理由を1つ1つ述べていった。

「あ、あの…私、まだちゃんと話せない時もあるのに…良いのかな?」
「出来る限りフォローするで?」
「それに私、テニスの知識もないし…」
「前のマネージャーの資料めちゃくちゃ詳しいから【名前】なら読めばすぐ理解できるで?」

私が不安点をあげていくと白石くんは直ぐに返事をくれる。

「えっと…あれ?」

何度か先程の様な事を繰り返しているうちに私の中で出来ないと思っていた理由が消えてしまった。
私が何を言おうかと白石くんを見ると彼は優しく微笑んでから返事をくれた。

「【名前】が頑張り屋なのは見てたから一応知ってるつもりやで?せやから俺はマネージャー業も出来ると思っとる」
「え?」

それってどういう意味?と聞き返そうと口を開いた瞬間に白石くんが『あ』と声をあげてポケットから携帯を取り出す。
どうやら着信の方だった様で携帯を耳元へとあてていた。

「姉さん?…あぁ、すまんな、今から帰るから」

お姉さんからの電話だったようで電話口で白石くんが何度か頷く。
そう言えば手に買い物袋を持っていた事を思い出す。
もしかして頼まれた用事の最中だったのではないだろうか?
私のせいで道草させてしまい申し訳なく感じた。

「あの…ごめんなさい」
「え?あぁ、ええよ。気にせんといて。【名前】を見かけて声をかけたの自分やから」

携帯を切ったタイミングで謝ると白石くんは笑いながらベンチから立ち上がる。
私も慌てて一緒に立ち上がる。
そう言えば私も散歩だと言って家を出たが連絡もしないでいつまでも外にいたら心配をかけてしまうかもと思い至った。
2人で公園の出口を一緒に出て、分かれ道で立ち止まる。
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