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ゆるやかな速度で

第4章 3.再会


今よりも周りが全く見えていない時期だったのできちんと相手の事を見ていなかったので私はちゃんと2人の事を覚えていなかったようだ。
とても失礼だなと思い私が「ごめんなさい」と謝ると、何に対して謝られたのかすぐ分かってくれたようで「大丈夫やで」と優しい言葉をもらってしまう。
綾子ちゃんのお友達だから何となく私の事を知っているのかもしれない。

「なぁ、なぁー」

私が目の前に現れた2人に気を取られてしまって会話の外へと追いやってしまう形になっていた金太郎くんが痺れを切らしたのか私に話しかける。
私はその言葉に我に返り金太郎くんを見ると、私と彼らを見比べてから彼は告げた。

「思ったんやけど、こいつら【名前】と知り合いなんやろ?」

指さしながら金太郎くんが2人を見る。
私は金太郎くんの行動に驚きつつも頷いた。
綾子ちゃんのお友達なら、直接的ではなくても知り合いと言ってしまっても良いかなと思ったからだ。
そして金太郎くんの言葉を聞いても彼らは特に否定をしなかった。

「で、さっきの兄ちゃんも【名前】、知り合いなんやろ?」

さっきの兄ちゃんと言われて一瞬誰のことだろうか?と思ったが、一緒にテニス部へやってきた白石くんの事を言っているのだろうと思い、私は再度頷く。

「じゃあ【名前】もテニス部入ろーや!」
「え!?」
「テニス部に知り合いいっぱいおるんやろ?それに、一緒に入ったら学年違くても毎日会えるやん!」

キラキラと大きな瞳を輝かせて良いことを言った!と思っていそうな表情の金太郎くんが私にそう告げる。
私は驚いてしまって直ぐに言葉を発せなかった。
それはこの場にいた彼らも同じようで誰も何も直ぐには言葉を発せなかった。

「えっと…そのね、金太郎くん。多分無理だと思うんだ」
「えー!なんでや!?」
「それは、ここが男子テニス部やからや」

呆気に取られてしまった私が金太郎くんに返事をすると、いつの間にか近くまで白石くんが来ていて金太郎くんにツッコミを入れてくれる。
そして白石くんの言うとおりで、ここの部活に私が入ることは基本的には無理だった。
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