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ゆるやかな速度で

第3章 2.不思議な人



何故彼だけが平気なのか分からず私は考え込んでみたが全く理由が分からなかった。
そして目を閉じて考えていたせいと、縁側がぽかぽかとした陽気であまりに気持ちいいなと思ってしまい、ふわぁと欠伸が出る。
今日はいつもより少しだけ早起きして準備をしていたので少し眠かったのと、元々おばあちゃんがいた時によくここでおばあちゃんと話しながら昼寝をしてしまう癖が直っていないようで私の瞼が少しずつ降りてくるが分かった。
寝てはいけないと頭では思いつつも、縁側から立ち上がる事は出来なかった。
ゆっくりと体は床へと近付いていく。
駄目だと何度か自身へ警告を鳴らしたが全く抗えず、丁度よく頭の位置にあった座布団を枕にして私は完全に夢の世界へと誘われて行ったのだった――。

***

ふわふわと浮遊感に包まれた私は何もない空間を彷徨っていた。
先程まで暖かい陽気に包まれて、気持ちの良い場所に包まれていた様な錯覚だったのに今はただ幽霊のように彷徨っている感覚しかなかった。
それのお蔭で夢を見ているということに直ぐ様気付くことが出来た。

ふわふわと漂って何もしないでいると、突然急激に何処かへと引きずり込まれていく。
「―――っ」
声にならない悲鳴を私があげながら流れに逆らわずそのまま何処かへと到着すると私は聞きたくない声が空間いっぱいに反響して聞こえて身構えた。

「へーんなの!」
「お前の口調、変やわ」

変だ変だと囃し立てる男子に幼い私はたじろぐ。
そして、あぁ…またあの時の夢を見ているのかと気付く。
先程まで何もない空間にいたはずなのに今の私は浮遊霊になったかの様に、小学生の私を見下ろすように存在していた。

この場面だけでいつの頃の記憶か直ぐに分かってしまった。
これは小学生の時にこちらに引っ越してきてから直ぐの時期だ。
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