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ゆるやかな速度で

第10章 8.合宿02


「えっと…俺ですまんな」
「そ、そんな事はないよ。むしろ私で申し訳ないぐらいで……」
「そんなことあらへん!…えっと、俺は【名前】のパートナーになれて良かったで」
「あ、ありがとう」

最初に白石くんに謝罪されてしまい驚いてしまった私は少しだけ言葉に詰まりつつも直ぐに否定の言葉を彼に投げる。
白石くんに対してそんな風に思ったことなんて1度もなかったから誤解されたくないと直ぐに彼の言葉を否定しつつも、私自身も思っていたことを彼に告げれば白石くんからも勢いよく否定の言葉…そして優しい言葉をもらう。
白石くんが照れくさそうに笑う表情を見て、私と一緒で嫌だとは思われていなかった事に私は安堵した。

私達がそんな会話をしている最中のことだった。
遠くの方から渡邉先生の番号を聞いて私達は出発地点へと向かったのだった。

「お。なんや、白石は【名字】とか!ええな。こういうのはやっぱ男女ペアの方が盛り上がるわな」

私達の順番になって出発地点へと向かえばスタート地点を管理している渡邉先生にそう言われしまい私達は驚きの声をあげてしまう。
白石くんが慌てて『俺らはそんな事は微塵も考えてへんで!?』と返しても、ニヤニヤと笑いながら渡邉先生はそんな言葉を軽くかわしてしまう。
どう誤解を解こうかと思っていると先生が『お前らの番やで』と言われてしまい私達は先生に何一つ誤解を解くことが出来ないまま…釈然としない気持ちのままに歩き出したのだった。

小道を歩き出した私達は先程、先生に言われてしまった発言のせいで、ぎこちない雰囲気のままだった。
隣を歩く白石くんをチラリと見れば彼は普通の表情で歩いていた。
私だけがおかしな意識をしてもいけないと少し深呼吸をして心を落ち着かせようとしたがあまりうまくいかなった。

「【名前】」
「は、はい!」

急に名前を呼ばれると思ってもいなかった私は悲鳴の様な返事を返してしまう。
それに驚いた白石くんは目をパチパチと瞬かせていた。
私は驚かしてしまった事を謝罪してから彼にどうかしたのかと尋ねる。
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