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【イケメン戦国】 時を翔ける巫女

第8章 貴方と過ごす安土


「信長様に聞いたぞ。戦の最中に、家族と離れ離れになってしまったと……寂しかったんだろ、本当は。せめて安土にいる間は、俺を本当の兄だと思え」

(本当に、地の性格は優しい人なんだな。秀吉さんって……)

「…いえ、性分なので、秀吉さん、のままで……」
「そうか。ま、無理強いはしないさ。
あとはしっかり栄養をとって休めば、もう大丈夫だと家康も言っていたぞ。これからは、体調が悪かったら遠慮せずにちゃんと言えよ? 無理せずに頑張ることが大切だ」
「はい…本当に、ありがとうございます」

(本当に……お兄ちゃんみたい)

 思わず笑みがこぼれ、胸が暖かくなる。

「お前が起きたら信長様達に報せようと思ったんだが……どうする?もう少し、休んでからにするか?」

 本来なら、私には信長様や武将達には逆らう事など許されていない。直ぐにでも報せを出すのが当然だが、秀吉さんは、他の誰でもない私の意思を尊重してくれる。

「……報せて下さい。御迷惑を御掛けしてしまいましたし……それに、皆さんにも御礼が言いたいので」
「分かった。すぐに戻るから、無理はするな。辛かったらまた寝てろ」

 そう言って、秀吉さんは部屋を出て行った。
もう一度褥に身を委ね、見慣れぬ天井を見ていると、以前佐助君にいわれた言葉が思い出される。


『次にワームホールが開かれるのは、およそ三ヶ月後……多少の前後はあるかもしれないけれど、時期を見て本能寺に向かう』


 佐助君の言葉を信じれば、あと三ヶ月後には私はまた、元いた時代に帰る……だから、出来る限り人との関わりは避けたかった。
だが……安土城の人達は本当に優しい。訳あって詳しい事情が話せないこちらが申し訳ないと思うほどに。

(たとえ後三ヶ月しか時間が残されていなくても、気持ちを返す為に私の出来ることをしたいな……)
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