第7章 妖討伐(2)
「珠紀。今まで色々悪かった」
「頭を上げて下さい、秀吉さん。私は疑われて当然のことをしてたんです。だから、秀吉さんが謝る必要なんてどこにもありません」
私がそう言うと、秀吉さんは頭を上げて優しい笑みを向けてきた。
「これからは何でも頼ってくれ」
秀吉さんの明るい笑顔と武将達の温かな眼差しに、私は胸が苦しくなって顔を俯かせた。
(…お願い…もうこれ以上、優しくしないで……出て行きづらくなる……この人達は…優しすぎる……)
溢れてきそうな涙を唇をかみしめて堪えていると、家康さんが私の肩に手を置いた。
「信長様。珠紀を寝かせてあげて下さい。
珠紀、今日はもう寝な。衰弱してるその身体で、ここまで食べたり話したり出来るのがすごいくらいなんだから」
(そうなの…?)
信長さんに優しく褥に横たえられると、家康さんが布団をかけてくれる。
「俺達もそろそろ戻るか」
「そうですね、珠紀様に無理をさせてはいけませんし」
「あとは、しっかり体力をつけて、早く戻れるようにしろ。ゆっくり休め」
そう言い残すと、信長さんをはじめ、全員が徐々に退出していった。
(…………とにかく、回復しないことには何も始まらないな…)
フッと息を吐くと、私はそのまま訪れた穏やかな眠りに身を委ねた。