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もう一度、夢のなか

第1章 1



少しずつ朝の空気が濃くなるなか、心地良い汗をかいてジョギングを終え、マンションへと帰る。軽くシャワーを浴びて汗を流したあとは、何をおいてもプロテインを摂取しなければ。
安定のバナナ味で朝の日課を終えたら、少々特別な任務のため、まだ熱の残る身体にデニムを身につけて、キッチンに立つ。

冷凍庫からマンゴーとキウイ、りんごを取り出し、皮を剥いて大きく角切りにする。家を出る前に冷やしておいた果物は程よく冷たく、ナイフを滑らせる指にも心地良い。ミキサーに全て入れ、牛乳と砂糖を少々加えスイッチを押せば任務完了。前回のように納豆、もしくは小魚を入れたいところだが、グッと堪えて果物が薄いパステルグリーンに混ざりあっていくのを眺める。
背の高いグラスに注ぎ、仕上げにミントの葉とブルーベリーを添えて完成したそれは、先日検索した画像とほぼ同じで、満足のいく出来にひとり、笑顔になる。
鼻歌まじりにトレイに載せ、寝室へと向かった。

ドアを開けた向こう、ベッドの上では、膝を抱えて顔を埋めている小さな姿が、まだ薄青の部屋のなかにぽつんと所在無げにまるまっていた。ぱたんという音で肩がぴくっと反応し、目だけちらりと上げて俺を見る。頬を風船のようにぷっと膨らませて、おかえりなさい、と少し尖った声が小さく響いた。

予想はしていたが、やはりヘソを曲げているようだ。

…なまえ、 ただいま。起きたんだな。
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