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ハツコイー5年後

第2章 偶然の再開をドラマに出来るかはキャラ次第ー山崎退


ちょっと強ばった顔に、精一杯明るい声を出してみる。
「あぁ、ごめん。なんか変な言い方しちゃった。いや、もう5年?経つのかとか思ってさ、年かなぁ。感傷に浸っちゃってさ」
「…いろんな人に同じ様な事言われたよ。高校時代の恋愛は、たまに思い出すのが1番良い、みたいな事。だから気にしないで…それより、年とか言わないでよ、私も山崎君と同い年なんだからね」
ちょっと頬を膨らませて見せる君は、やっぱり綺麗になった。そんなセリフを、あの彼ならこんな状況でも、あっさり言ってしまえるのだろうか。
そんな事、今さらどうでもいいか。
「さて、私そろそろ帰るね」
君は立ち上がると、アイスの容器をゴミ箱に入れて、僕を見た。
「あ、送るよ」
そう言ってみたけど、君は目の前の駅を指差して、電車に乗るからと告げた。
「あぁ、そっか。実家、出たんだったね」
「うん。電車で20分くらいだけどね。今日は式の準備でこっち来てたの。じゃあね、アイスごちそうさま。次に逢うのは式だね」
君は微笑むと、小さく左手を振った。
コンビニの灯りに薬指が光ったのを見た僕の笑顔は、情けない出来だったかもしれない。
アイスの容器をゴミ箱に投げ入れ、手にしたビニール袋からビールを取り出した。
僕の舌打ちは、ぬるくなったビールとともに、喉の奥へと消えていった。
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