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ハツコイー5年後

第1章 たまには昔の話をしようか


志村新八の回想

僕は自分で思っているより、だいぶ鈍いみたいだ。
高杉君のさんへの態度が、皆へのそれとはちょっと違う気はしていたけど、それが好意だとはすぐに結びつかなかった。
だから駄メガネとか言われるんだろうな。
高杉君と掃除当番になった事に呆然としていたさんに、きっと高杉君はやらないから、僕が変わりにやるよと声をかけたのは、本当にただの良心からだった。
なのに高杉君に余計なマネするなと睨まれて、慌てて帰ってしまった事を悩んでたなんてさ、笑っちゃうよね。
だって、気にする必要なんて少しも無かっんだから。
それに気づいたのは海に行った時で、パラソルの下で姉に殴られた近藤君の介抱をしていた僕は、さんが高杉君のパーカーを借りていた事を知って、ものすごくびっくりした。
しかもその後、2人は部屋に行くとかいう話をし始めるしで、僕としてはそれこそメガネに成り切って、何も聞こえていないふりをし続けた。
帰りの電車の中で、神威さんの肩に頭を預けて寝る神楽ちゃんを見て、なんだかんだ言って兄妹なんだなと思っていた僕の肩にさんの頭が倒れて来た時だった。
隣に座っていた高杉君は僕に「悪りぃ」とつぶやくと、眠るさんの頭をそっと自分の肩に倒してから、乱れた髪を撫でた。
その仕草もさんを見る目つきも、信じられないくらい優しくて、僕はなんだかどうでも良くなってしまったんだ。

銀八先生の回想

いや、高杉はさ、確かに問題児だけど、可愛いトコあんのよ。
神楽も言ってたけど、が呼びに行くと教室戻るし。そうそう、前に全員分のノートを職員室に持って来るように頼んだ事があってさ、そしたら高杉が半分以上持って、一緒に来たんだよね。「女1人に持たせる量じゃねーだろ」とか言っちゃってさ。
しかもの「高杉君ありがとう」にちょっと、いやかなり嬉しそうだったな。顔には出てなかったけど。
坂本先生と「あれがアオハル言うもんかの」って笑いあったもんだよ。
まぁ、高杉に自分から「おはよう」とか言うの、くらいだったからね。そういうの大事じゃない。…そのが結婚かぁ。
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