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【短編集】ブーゲンビリア【R18】

第2章 罠


「お父様。葛城は私の執事です。葛城の処分は私が決めますわ」

解雇など、させるわけには行かない。

「お父様には後程ご報告致します。今日は疲れておりますのでこのまま休ませて頂きたいのですが、よろしいですか?」
「ああ、もちろん。奏ゆっくり寝なさい」
「葛城は残りなさい。頼みがあります」
「かしこまりました」

父が出ていくと、部屋は途端に静まり返った。
普段滅多に見せない主人としてのあるべき姿を見せたのでどっと疲れが押し寄せる。
これで、信也の首は繋がった。
ちらっと横目で信也を見る。

何故か、肩が震えていた。

「信也っ! あなた笑ってるでしょう!」
「悪い……くくっ……あまりにも……くっ」
「こっちは必死にあなたの首を守ろ……!」

慌てて口を塞いだが既に時遅し。
急に恥ずかしさがこみあげてきてベッドにもぐりこむ。
が、掛け布団を信也にはぎ取られた。
取り返そうとするが、信也に腕を捕まれ、そのまま抱きしめられる。
体重をかけられ、ゆっくりとベッドへ沈む。
何故か、拒否する言動と行動がする気になれなかった。
抱きしめる腕が強くて、でも、優しい。
暖かくて心地いい腕の中。

「信也……」
「とりあえず、言いたいこと1つ言わせてもらう」
「どうぞ」
「俺は、旦那様にお礼を言われて頭を下げてたんだ」

時が止まった。……ような気がした。
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