第1章 恋の始まり
私は織田信長の手を払いのけ、後ずさりした。
(いったい何がどうなってるの!?)
頭の中がぐちゃぐちゃで身体が震えだした時、大勢の人の声が近づいてきた。
???「信長様!よくぞご無事で...」
(え......?)
現れた武士の一団の中から、一人の男性が側へと走ってくる。
信長「......三成?貴様、なぜここにいる。秀吉はどうした」
三成「秀吉様の命令で参りました。秀吉様ご自身も今こちらに向かわれています」
火の手を上げる本能寺を横目に、三成と呼ばれた男性が眉をひそめた。
三成「信長様のお命が危ないとの情報が入ったのですが...本当だったようですね。敵は少数だったらしく、配下の者に寺を探させましたがすでに逃げた後でした。
こちらの女性は?ご一緒に本能寺から出ていらっしゃるのが見えましたが...」
信長「舞、俺の配下の者に挨拶しろ」
織田信長が三成さんを顎で指し示すのを見て、むっとする。
(何でこんなに偉そうなの?いくらあの織田信長だからって...)
舞「どうして私があなたの命令を聞かなきゃならないんですか?」
信長「俺に従わない気か、貴様」
鋭い視線で凄まれて、ぞくりとと背中が震える。
(っ......すごい迫力......)
三成「いえ、私がいけませんでした。自分から名乗るのが礼儀ですよね。私は石田光成と申します。信長様の右腕の秀吉様のもとで、側近を務めている者です」
舞「はじめまして、舞です...」
(こっちの人は優しそう...。『石田三成』って名前も有名だよね。すごくきれいな顔してる。21世紀に行けば捉モデルデビューだよ)
信長「何者かは俺も知らんが、この女が刺客に気づき、寝ていた俺を起こし外へ連れ出したのだ」
三成「そうでしたか...!御館様の命を救っていただき、ありがとうございました」
舞「い、いえ...」
三成「ですが、舞様はなぜ本能寺に?尼にも見えませんし...変わった服装をなさっていますが、どこの国のお方でしょう?」
舞「私は......この時代の人間じゃないんです」
信長、三成「は?」
(戸惑われるだろうけど、正直に話す以外説明のしようがない)