第1章 恋の始まり
舞「みっつう......?ゆうじょ?何を言ってるんですか?」
(とっさに助けたけど......この人、ものすごく変)
偉そうな口調、冷ややかな眼差し、時代劇でしか見たことのない甲冑...。
しかも腰には、日本刀らしきものまで携えている。
???「呆けた顔をするな。俺の名は知っているだろう」
舞「え?知りませんけど...」
???「知らずに俺を助けたのか。褒美目当てかと思ったが...。まあいい、知らぬなら教えてやる。俺はこれかR天下統一を果たす男だ」
舞「いえ......別に教えてくれなくて大丈夫です」
???「は...?」
(知りたくない。何だか嫌な予感がする......)
???「妙な女だな、貴様。俺にそのような口をきいた人間は初めてだ」
この上なく愉しそうな彼の笑い声が、彼の闇に響きだす。
(今、笑うところあった!?しかも、笑顔が凶暴なんだけど...っ)
???「俺の興を引いたこと、命を救ったことの次の褒めてやる。俺は安土城城主、尾張の大名......織田信長だ」
(おだ......のぶなが......?)
ぽかんとして辺りを見回すと、煙の合間からお寺の円が見えた。
くっきりとした文字で......『本能寺』と書かれている。
舞「つかぬことを伺いますが......今って、何年ですか?」
信長「......?天正十年だが、それがどうした」
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『天正十年(1582)、明智光秀に裏切られ織田信長は自害し、本能寺は焼け落ちました。』
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(嘘でしょ......!?)
自分の頬を思い切りつねってみる。
(痛いっ、夢じゃないみたい。ってことは......私は本能寺の変の夜に、タイムスリップしちゃったってこと!?)
信長「何をひとりで百面相している?この俺が名乗ったのだ。次は貴様の番だろう」
舞「!?」
指先で顎を持ち上げられ、自称・信長の顔が目の前に近づいた。
信長「貴様、名は?」
。、。、。、。、。、。、。、。、。、。、。、。、。、。
信長「舞か。悪くない響きの名だな」
舞「離して...っ」