第1章 猫の悩み
『はぁ〜。』
隣ののっぽがまた今日も溜息をつく
『そーんなに溜息つくなら不毛な恋をやめてしまえばよろしいのに。』
『なんだよその言い方。幼なじみなんだから少しくらいアドバイスとか慰めとか言えばいいだろ?だいたいお嬢様喋り全然似合ってなくて不自然だし。』
珍しくつっかかってるくるこのおっきいのが私の幼馴染であり、思い人である鳳長太郎だ。
『余計なお世話だ。だいたい2年間もうじうじ片思いしてるんだから慰めもアドバイスも尽きるっての。さっさと動いてればあんな大企業の御曹司に掻っ攫われることもなかったのにバカだねぇ。』
『うわ…口悪ぅ…。でもさ、そこなんだよね結局。家柄で勝てないって思ったこと今まで無かったんだけどなぁ。』
『………。(やな奴だなぁ。)』
『何?』
『別に…。』
『言いたいことあるなら言ってよ。』
『何もないって。』
『はーちゃん。』
『それで呼ぶな。あたし職員室寄るから、じゃね。』
不満気な視線を背中にチクチク浴びながら渡り廊下を走った
全く
何故あんな奴が好きなのか
自分自身甚だ疑問である。
優しくて残酷で
可愛くて腹黒い
でかい犬っころみたいな
我が愛き幼馴染。