第3章 猫のきもち
『へ?』
長太郎は時が止まったみたいに固まっていた
『好き。』
『え、誰を?』
ここまで言ってるのに
あまりにも鈍感でムカついたのでほっぺに指を突き刺してやった
『俺?』
その指をぐりぐり回してやると
『痛い痛い。ごめんなさい!でもいつから…?』
『初めて会った時から。』
『3歳?』
『2歳。』
『そっか……っていうか俺!はーちゃんに恋愛相談とかして……ぅわ…ひどい……』
『気にしてない。』
『嘘だよ!ごめん。はーちゃん。』
『そのごめんは振るって言う意味のごめん?』
『いや、ちがっ…あっ!あ、の、その。俺ははーちゃんのこと』
『幼馴染。』
『うん。今パニクっててよくわかんないんだ。ごめ…じゃなくて』
『いいよ、わかってる。私もそうだから。今日は帰るね。話聞くって言ったのにごめんね。また明日。』
『うん。おやすみ…なさい。』
月が丸くて綺麗で
もうすぐ十五夜なんだなと思った
身勝手に告白してしまった割りに
前よりも心が軽くて
月まで飛んで行きたくなった
『あーぁ、言っちゃった。』
言葉では後悔しているのに
私は笑っていた