第2章 ご近所付き合いは良好に
(ほ、ほぼ、壁ドン…!!)
私が急に振り返ったせいでいっきに近づいた顔の距離に黒尾くんも驚いたようで
2人して赤くなったままうつむく。
「あ、ありがとう!!」
焦ってコップを受け取って戸棚と黒尾くんの間から抜け出した。
そのまま水を汲んでお母さんのところへ持っていった。
その後、黒尾くんのご両親も降りてきて
私が作った料理と黒尾くんのお母さんが手早くつくってくれた朝食をみんなで食べた。
9時頃、家に帰ってきた。
母「二日酔いが軽くなるまでもうちょい寝るから…」
「わかった。」
(今日は何しようかな…。)
部屋に戻ってなんとなしに音駒の案内を見る。
(…!?入学前課題!?)
机の中を必死に探すと
10ページほどのワークが出てきた。
(あっ、これくらいならすぐ終わりそう。)
そんな風に思っていたのに
何年も前の学習範囲に戸惑っているうちに夕方になっていた。
(お、終わった〜…。)
ぐったりと机の上に倒れこむ。
すると一階からいい匂いがしてきた。
「夕飯!!」
リビングに行くとお母さんが夕飯を机に並べていた。
「ありがとう!手伝うよ。」
母「ありがとう。」
そして夕飯を食べ始めるとお母さんが話したいことがあるようだった。
母「次の出張なんだけど6日後に出張しなきゃいけないことになったの。今度は四国に。そんなに長くはならないと思うんだけど困ったらお父さんの職場に連絡しなさい。」
「…うん、わかった。」
聞きたいことはいろいろあったけど変なことを言うわけにはいかないと思うと何も聞くことができなかった。
夕飯のあとお風呂に入って自分の部屋に戻ってきた。
タイミングよく携帯が光る。
黒尾くんから
(窓…?…!)
意味を理解した私はカーテンと窓を開ける。
そこにはお風呂上がりなのか髪が濡れていつもとは印象の違う彼がいた。