《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第5章 嫉妬とキスをかき混ぜて
エクボは少し心配そうに眉を下げた。
「なぁ、ゆめ。本当にあんなうさんくさい男がいいのか? 余計なお世話かもしれねぇが」
「うさんくさい? どこが?」
「はぁ〜っ、頭が痛くなるぜ。いいか? あいつは本当はサギ…………いや、この話はややこしくなるからやめておくか。とにかく、あんなやつと付き合っても悩みが増えるだけだろ。どうせ霊幻のことだから、恋人になってもなかなか一緒に過ごしてくれないんじゃねぇか?」
「っ!」
ドキッとした。タイムリーすぎる。一昨日も急に約束をキャンセルされたばかりだ。
エクボはヤレヤレと手を広げた。
「ああいうタイプは他人のコントロールはうまいが、自分の恋愛には不器用だ。男女の付き合いって言ったって、せいぜい室内でセックスするぐらいだろ。女を喜ばせるデートなんて思いつくような男じゃないからな。おまえさんは、そんな付き合いで満足なのか?」
「っ……!!」
デート……!
いわれてみれば、たしかに霊幻さんとデートなんてしたことがない。バイト帰りに食事ぐらいは一緒に行くけど……。霊幻さんと過ごすといえば、ほぼどちらかの部屋かホテルに行くのが当たり前になっていた。
「どうだ? 俺様のいうとおりだろ?」
「ぜ……全然!」
「意地を張りやがって」
「…………」
私は動揺を隠しながら、腕時計に目をやった。じっくりと考えたい問題だけど、もう実習に行かないと間に合わない。
大きく息を吐いてなんとか気持ちを立て直す。
「別に意地なんて張ってないよ。余計な心配はいらないから。とにかくエクボは早くモブくんのところに帰って。これから実習なの。もう邪魔しないで」
早足で歩き出した。
「おうおう、ゆめちゃんよ。つれねぇなぁ」
エクボが追いかけてくる。しつこい。
「ねぇ、本当に時間ないから絡まないでくれる? 電話しないといけないし」
私はエクボを無視して、通話ボタンを押した。歩きながら、スマホを耳につける。