第3章 坂本龍馬編☆第一話♡
桂 「ほら、これでいいだろ」
。、。、。、。、。、。、。、。、。、。、。、。、。、。
(そういえばあの時、桂さんに応急処置をしてもらったままだったんだ)
私はかがみこみ、はなおの切れた下駄に触れる。
(どうしよう......)
考えていたその時、目の前に薄く影が差した。
龍馬「......何やってんだ、お前」
低く響く声に顔を上げると、
そこにはけげんな表情を浮かべて、私を見下ろす龍馬さんの姿がある。
(あ......)
龍馬「............」
龍馬さんの視線が私の足元に向けられると、
斬れたはなおに気がついたのか、ため息が聞こえてきた。
龍馬「掴まれよ、とりあえず」
龍馬さんがすっと、手を差し出してくれる。
瑞希「あ。ありがとうございます......」
私はよろめきながら立ち上がると、その腕を掴んだ。
立ち上がるとすぐに、龍馬さんが顔を背ける。
龍馬「行くぞ」
それだけを告げ、龍馬さんは再び背中を向けた。
瑞希「っ......はい」
私は龍馬さんの腕を掴んだまま、
下駄を持ち片足で跳ねるようにしてその背中を追いかける。
(こうして歩くのは、難しいな)
しかししだいに、追いつかなくなってしまった。
(もう、仕方がない)
私は諦め、地面に素足をついて歩き始める。
腕から手を放すと、気づいた龍馬さんが足を止めた。
龍馬「............」
そして足元を見下ろし息をつくと、私の前へと回り込む。
(え......)
目の前の背中越しに、龍馬さんの声が聞こえた。
龍馬「ほら」
見覚えのある光景に、私は戸惑い目を瞬かせる。
(もしかして、これって......)
わずかに振り返った龍馬さんが、眉を寄せて言った。
龍馬「乗れよ」
瑞希「え、でも......」
(おぶってもらうなんて......)
戸惑いに声を上げると、龍馬さんが小さく首を傾げる。
龍馬「前に一度乗ってんだろ」
そして降りたままの私の手を取ると、無理やり自分の肩に押し当てた。
瑞希「っ......」
龍馬「いいから、早くしろって」
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早朝の市中で、私は龍馬さんの背中におぶわれていた。
瑞希「............」
龍馬「............」