第2章 出会いと恋の始まり
四季で働くことになり数日が経った、ある日...。
瑞希「...........」
(忙しいけれど、何とかやっていけそう......でも)
後片付けををしながら、私はため息をついた。
(このままじゃ、だめだよね......これからどうするか真剣に考えないと)
顔をうつむかせると、そこに聞き知った声が聞こえてくる。
ユキ「瑞希、お疲れ様!頑張っているみたいね!あたしの目に狂いはなかったわー」
瑞希「ユキちゃん......!」
お店に現れたユキちゃんに駆け寄ろうとした瞬間、私の足が止まる。
瑞希「え......っ」
(まさか、そんな......)
私は息を呑み、驚きに目を丸くした。
ユキ「実はもう一人、ここで働いてもらおうと思ってるの」
そう告げるユキちゃんが振り返る。
その先に立っていたのは...。
篠宮「っ......先輩」
瑞希「篠宮、くん......」
そこには私と同じように驚き目を丸くする、篠宮くんの姿があった。
お店の椅子に腰かけ、ユキちゃんがしみじみと息をつく。
ユキ「まさか二人が知り合いだったなんてね」
瑞希「私も、まさか会えるとは思わなかったから驚いちゃって......」
私は顔を上げ、篠宮くんに尋ねる。
瑞希「篠宮くんは、どうしてここに?」
篠宮くんは苦笑交じりに、その時のことを話してくれた。
篠宮「気が付いたら、市中にぶっ倒れててさ......そのあと変な奴らに絡まれてた時に、東雲(しののめ)さんが通りかかったんだよ」
ユキ「恭ったら、男達から刀を奪い取って逆にこてんぱんにしてるんだもの。ほんと、びっくりしたわー」
瑞希「そうだったんだ......」
(とにかく、無事でよかった......)
篠宮くんの言葉に、私はほっと息をつく。
すると篠宮くんがすっと真剣な表情を浮かべ、口を開いた。
篠宮「先輩。......俺達ってやっぱり、タイムスリップ......したんだよな?」
瑞希「......タイムスリップ」
篠宮くんの言葉に、心臓の鼓動が跳ねる。
それは、ここへ来てから何度か、私自身考えたことでもあった。
(やっぱり、ここは......)
篠宮「こういうの、あんまり信じたくねえんだけどさ」
大きくため息をつくと、篠宮くんが話してくれる。