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【イケメン戦国】月の兎は冬に焦がれる

第3章 耽美主義




「今宵は無礼講。

皆、常の気負いなど捨てて存分に楽しむが良い…乾杯」



かんぱーい、と皆が一斉に大声を上げる。
ここは春日山城の大広間。
家臣団が一堂に会して開かれる、宴の始まりだ。

初めて私がここに来た、その次の日の夜にも開かれた宴…お披露目だ、なんてかこつけて開かれた馬鹿騒ぎは空が白むまで続いていた。
ちなみに今日の宴も、何か最もらしい開催理由があった気がするけど…最早、思い出せない。


そこから数えて、もう幾度目の開催だろうか。
物凄い頻度で開かれているのは間違いなくて、そのおかげか上杉軍は皆仲が良い。
他の軍勢を見た事が無いからなんとも言えないけど、元の世の一企業の飲み会なんかと比べたら圧倒的にいざこざが少なく、平和だ。

時間が経つにつれ屍が増えていくのはおよそ平和じゃないけれど…と思いながら、私も一口。
今日は信玄様が用意したお酒らしく、この前幸村に貰った物よりクセも甘みも強い。
これは明日の朝には死屍累々だろうな、と思いながらまた一口…

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