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【イケメン戦国】月の兎は冬に焦がれる

第10章 【閑話休題】鞠の心【頂き物】






***     ***     ***


「夕餉の支度が整ったぞ」

声が聞こえ、めり、と爪がめくれて我に返る。
床の継ぎ目を削っていた爪はガタガタに削られ、床に押し付ける圧に耐え切れずめくれてしまったのだ。

顔を上げると格子戸の向こうは茜色に染まり、声の主は私を見下ろしてすっと膝を折り。

「腹が満たされれば、気持ちも落ち着くだろう」
表情もなく話す。

「信長様……」

みんなのいるところであんなに騒いで、
一人にしてって、啖呵切って叩いたのに。
すると、重い刀を持ち、数え切れないくらい人を殺めたその指先で、怖いくらいに優しい手つきで頭を撫でて。

「なぜ雨が降るのか、なぜ天道が陽を届けるのか、誰にもわからぬのと同じこと。 心は思うままでいい」

そう言って笑う。



「ごめ……なさぃ」


「言ったはずだ、すべて愛される覚悟をしろと」


ぶわっと溢れる涙を大きな胸に押し付け、声を上げ、叩き、馬鹿みたいに泣くのを、信長様は何も言わずに抱いていてくれた。





おしまいける。







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special thx 小次郎様♡



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