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【イケメン戦国】月の兎は冬に焦がれる

第9章 批判主義





すん、と自分の鼻を啜る音で目が覚めた。
ゆるゆると開く視界は、潤みぼやけている。
ややあって、自分が泣いていることに気付いた。


もう随分と、昔の事なのに。
また泣けてくるのは、彼女と出会ってしまったからだろう。
…にしたって、あんなに睨まなくたってよくないか?


いつから彼女がここに居るのか知らないけれど、なるほど、連絡もつかない訳だ…
──ん、前って言うけど。


あの日々より更に前の時代に、今はいて、つまりあの日の過去は今の未来で──


どうでもいい事ながら、頭がこんがらがりそうで、んん、と唸りながら、涙を払い。
よっこらせ、と身を起こしてみる。
案外フカフカの布団に驚きながら…だって、てっきり牢屋にでも入れられていると思っていたのだ。


身を起こして、見渡してみた部屋は飾り気が無く。
しかし季節の花が一輪、さりげなく端に生けられていた。
安土城が絢爛豪華なら、こちらは侘び寂びとやらを感じさせる。


と、言うことはここは安土城じゃないんだな──じゃあ、どこ?
ようやく思考回路が目を覚まし出した、そんな私の耳にくつくつと。
視界の外れから、まるで堪えるような笑い声が聞こえ、振り返る。



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