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【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》

第2章 ゼロの執行人


「お前も知ってるように俺の友人たちはみんないなくなった……ここでは、これ以上大切なものを作らない、そう決めていた。それに、大切なものができても俺はこの国を優先させる。どちらか一方しか助けられないという選択を迫られるとしたら……俺は迷わずお前を切って捨てる……」
降谷は真剣な眼差しでさくらを見つめる。迷いのない真っ直ぐな瞳で、この肩にどれだけの重圧と使命感がのしかかっているのだろうかと考えずにはいられない。
「それでも、一緒に居たい、守りたいと思ってしまった……」
その言葉にただ黙って、じっと耳を傾ける。降谷はさくらの左手を取って両手で包み込み、優しく握りしめる。
「さくら、これからも俺の隣にいて欲しい」
「ふる……零さん」
さくらは泣きそうになるのを必死に堪えて、自由になっている右手を自分の手を握っている降谷の手にそっと添える。
「私も選択を迫られた時、きっとこの国を取ります。でも、私も零さんと一緒に居たい……それに、そんな零さんだからこそ、好きになったんです。零さんの隣でこれからもこの国を守りたいです」
「さくら……ありがとう」
降谷はさくらの手から右手だけ外すと、相手の頬に添える。優しく撫で、しっかりと視線を合わせると吸い込まれるように顔を近づける。さくらが瞳を閉じると唇に優しい感触が伝わり、顔に降谷の髪がかかった。
名残惜しそうに唇が離れる。瞳を合わせるとさくらは笑みを浮かべる。
「零さん、好きです」
「ああ、俺も好きだよ」
確かめるかのようにもう一度、唇が重ねられる。また明日からこの国を守るための日常が始まる。今だけはお互いの体温を感じて幸せに浸っていたかった。
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