【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》
第2章 ゼロの執行人
RX-7に降谷とコナンが乗るとすぐさま降谷へ電話の着信がありそれに出る。
『降谷さん』
「は?」
時間がないために車を発進させた降谷は思わず、素っ頓狂な声を出して前を見据えたまま固まってしまう。イヤホンの向こう側から聞こえる声は風見から意識不明だと告げられた相手で、降谷の反応にコナンも訝しげな表情を浮かべる。
『連絡が遅くなり申し訳ありません。相沢です』
「意識不明じゃ……」
『私が無事だと日下部に知れるとまずいと思い、二宮君に情報操作をしてもらって、意識不明ということにしてもらいました』
「大丈夫なのか?」
『完璧に、とは言い難いですが……時間がないんですよね?ナビをします』
「詳しい話はあとで聞くからな」
『了解。そのまま首都高に進んでください』
警視庁周辺の高速道路はガラガラでRX-7は猛スピードで駆け抜けていく。ときおり、事故車両が停まっていたり走行中の車に出会うが降谷はスピードを緩めることなくギリギリの所を通過していく。
「この先は渋滞だよ!」
助手席でスマホを見ていたコナンが叫び、その声はさくらにも届く。
病室でパソコンの画面を見ているさくらもこの先の渋滞を把握しており、リアルタイムの衛星写真を拡大した。
「避難誘導がうまくいってないのか」
『情報が錯綜しているようです』
少し先で二台のトラックが並んで走っているが降谷はスピードを上げて追いつくと路肩に飛び出し、そのままのスピードで後輪を滑らせてカーブを曲がる。ドリフトをしながら何台もの車を追い抜いた。
『この先、高速はモノレールの高架を避けるように右にカーブして、高架と並行して埋立地まで続いています。』
降谷はさくらの言葉を聞きつつカーナビの画面を自分でも視界に入れて確認する。
『500メートル先に車両を積んでないキャリアカーが渋滞のため停まっています。そのまま180キロオーバーで走行してください。モノレールも来ました!』