【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》
第2章 ゼロの執行人
『相沢さんと連絡がつかない?』
「はい、都内で起こっている家電に関する事件を報告するために電話を入れたんですが、おそらく相沢さんのスマホがIOTテロの被害に遭って会話中に電話が通じなくなりました。プライベート用のスマホにかけたんですが、そっちもやられたのか持ち歩いてないのか繋がりません。公衆電話から連絡が来るかパソコンが無事ならメールでも寄越すはずなんですが……もう1時間以上音信不通です。いくら街中が混乱しているとはいえ警視庁を目指すとしたらもう着いていてもおかしくありません。警察庁のほうにも戻っていな2いそうです」
二宮の電話の相手である風見は険しい表情を浮かべる。先程日本橋で降谷と分かれた後、警視庁へ戻る途中だった。
普通の大人なら1時間程度連絡がつかなくてもそう心配したりしないが、彼女はゼロだ。普段は降谷の補佐で内勤が多く潜入捜査はしていないとはいえ、危険な立場に変わりはない。二宮はどうにも嫌な予感が拭えず風見に報告していた。
『わかった、私から降谷さんにも連絡がなかったか聞いてみよう』
「よろしくお願いします」
風見との通話を終えてすぐのことだった。二宮のもとにさくらが階段から落ちて警察病院へ搬送されたと連絡がきたのは……
二宮は風見に連絡を入れると警視庁を後にして警察病院へと急いだ。