Rein Carnation《進撃の巨人/ライナー》
第8章 Desire
「マネージャー・・・」
「・・・結衣、私を・・・拒まないでくれ」
結衣はその言葉に、聞き覚えがあった。
そうだ。忘れていただけだ。
この人は前世でも、私を想ってくれていた。
当時、優秀な兵士の1人である結衣をよく会議に書記として同行させたり、様々なことを教えてくれていた。
優秀な兵士は他にもいる中、結衣に自分の職務を手伝わせた理由は、エルヴィンが結衣を1人の女として愛してしまっていたから。
そして、前世も結衣はエルヴィンの交際の申し出を断った。
それからの結衣はエルヴィンを避けてしまうようになったが、ある日のエルヴィンに
「結衣、私を・・・拒まないでくれ」
そう哀しい瞳で見つめられ、伝えられた。
運命の悪戯か、この男も、前世も今世も同じ人間を想っている。
エルヴィンは結衣の頬に手を添えてゆっくりと近付き、唇に触れるだけのキスをする。
言葉を聞いた結衣は、蘇った記憶で、エルヴィンに抵抗することは無くなった。