Rein Carnation《進撃の巨人/ライナー》
第8章 Desire
結衣を不安にさせぬ為、外線ボタンが反応しなかった事を悟られぬようにスマートフォンを見る。
「やはり電波は悪いか・・・」
「さっきの警備員さん、来てくれますよね?」
「ああ、そう信じよう」
エルヴィンと結衣は座って話していたが、全く動く気配がない。
更に言えば人も来る気配がない。
だが、エルヴィンは少しラッキーだと感じていた。
結衣と密室で2人きり、なんて理由は単純だが正直嬉しい。
スマートフォンのライト機能を使ってエレベーター内を照らして話していたが、初夏の夜、まだまだ寒暖差があり、鉄の箱の中は冷蔵庫のようで、結衣がカタカタと震え始めた。
すかさずエルヴィンが自分のジャケットを差し出して肩にかける。
「ま、マネージャー・・・風邪引いちゃいます!お気持ちだけ・・・」
「いや、大丈夫だよ。逆に気が付かなくてすまない」
エルヴィンにジャケットの前を持たれながら頭を撫でられた。
流石に寒いだろうと、結衣は申し訳なさそうに提案する。