Rein Carnation《進撃の巨人/ライナー》
第8章 Desire
「さあ、帰ろう。オジサンの世間話に付き合わせてすまなかった」
「オジサンじゃないですよ。楽しかったです、ありがとうございます」
空になったカップを捨て、脱いでいたスーツのジャケットを手に取ると、丁度警備員が来た。
施錠すると言われ、2人は急いでオフィスから出る。
結衣とエルヴィンはエレベーターを待ちながら、施錠して非常階段に入っていく警備員を横目で見た。
「私も警備員に憧れた時期があったな」
「え、そうなんですか?」
結衣はエルヴィンの警備員姿を想像する。
「似合いそう」
「本当か?まあ私が警備したいのは結衣だけだがな」
「言ってる事オジサン臭いですよ」
結衣が笑うと、エルヴィンは「もう40前だからな」と笑って返した。
エレベーターが到着し、乗り込むと、ドアが閉まって少し降りたタイミングで静かにエレベーター内の電気が全て消え、止まった。
「えっ!?停電!?」
「らしいな」
「お、落ちないですよね!?怖い!!」
「大丈夫だよ、あまり動くと危ないかもしれないが」
「どっちなんですか!」
エルヴィンは笑って、慌てることなく外線ボタンを押すが、何故か全く反応しない。