Rein Carnation《進撃の巨人/ライナー》
第8章 Desire
その日の夜。
皆が帰った後、エルヴィンはオフィスに残り、明日やるには微妙な量の仕事を仕上げるためにパソコンと対峙していた。
時刻は21時。
そろそろ警備員が見回り始める。
彼らの手を煩わせないようにと無事見回りまでに仕上げ、エルヴィンはぐっと背伸びをして首を鳴らした。
「・・・コーヒーが飲みたい」
1人で呟く。
「コーヒー、入れましょうか?」
急に返され、驚いてオフィスの入口を見れば、つい先程帰宅したはずの結衣が立っていた。
「結衣・・・忘れ物か?」
「はい、家の鍵を今日、家で会社に置いておく用のカバンに入れて出勤して、見事忘れて帰って家に入れず・・・」
「ライナーの家に行けば良かったんじゃないか?」
ニヤリと笑って言えば、結衣は「からかわないで下さい」と言って休憩室に消えていった。
少しして手にカップを2つ持って戻ってきた。
「ありがとう。君も飲むのか」
「はい、お昼ご一緒出来なかったので。お気遣いさせてしまって、すみません」
「はは、いいんだよ。ライナーの機嫌を損ねたら大変だからな」
笑って言うエルヴィンに笑い返して、結衣はコーヒーを飲んだ。