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【黒子のバスケ】ブルーな愛情

第7章 波乱


「え、赤司くん…?」

「すまない…君の眼があまりに興味深いものだから」


ひとしきり笑った赤司くんは一息つき、真っ直ぐ私を見据えた。


「やはり、僕が君を呼んだのは正解だった。僕の眼に狂いは無かったよ」

「え?」

「君の観察眼は素晴らしいものだ。君は無意識で人を観察しているようだが、コントロール出来るようになれば人の考えを正確に読めるようになるだろう。相手の考えを読むこと以上に、手っ取り早く相手の上の立場に立つ方法は無い」


赤司くんは興奮したように早口で言い切ると、私に向かって手を差し伸べてきた。


「バスケ部のマネージャーをやらないか?君の観察眼には帝光の勝利に貢献するだけの力がある。開花すれば必ず戦力になるんだ」

「何の話ですか…?力って…」

「後々分かることさ。君は僕の言うことに従っていればいい。

バスケ部に入れ、久瀬」


……ちょっと、何だコレ、話が全く見えない。
見えないけど、一つハッキリしていることがある。

赤司くんの、自分の言うことを押し通そうとする高圧的な態度が私は正直好きじゃない。

だから彼がバスケ部に入れと言うならば、私が返す答えは一つ。



私は赤司くんが差し伸べてきた手に自分の手を伸ばした。
それを見て、赤司くんが満足そうな笑みを浮かべる。

そんな顔してられるのも、今のうちだよ。



私は赤司くんの手を勢いよく振り払った。

パシンと乾いた音が応接室に響く。

赤司くんの驚いた顔が目に入り、今度は私が満足気に笑った。


「キセキの世代だか何だか知らないけど、そんな言い方で人を従わせられると思ったら大間違い。

バスケ部には入りません。
自分のやりたいことは自分で決めるんで」


フッと笑ってやったら、赤司くんが顔を歪めた。
赤司くんの不満そうな顔をこの眼に焼き付けて、私は応接室を出ようとした。

しかし背後から赤司くんの声が飛んでくる。


「久瀬、僕は君を逃がさない。君はバスケ部に入らないといけないんだ。君が手に入るまで、僕はずっと追い続けるよ」


私は返事をしないままドアを開け放ち、そこでくるっと振り返った。


「ごめんなさい。私、追われると逃げたくなる人だから」


微笑みを浮かべそう告げた次の瞬間、私はドアを思いっきり乱暴に閉めた。
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