第25章 【番外編】マツノトクエスト 第二十四話
「さっきはありがとうございました!!」
一応縦社会もあるようだったのでお辞儀をする。
パンの人はヘラヘラ笑って部屋の中に私達を招きいれた。
「そうかそうか、アジト案内してたんだな。どうよ新入り! 俺達の基地はよぉ?」
凄く……汚いです、とは言えず困るのだがここは接客業宜しく褒める。
「はははは、思ったよりもここのアジトの中が広くてビックリしました! あと、仲間も多いんスね、俺こんな大人数が集まる所ってあんまり来ないから緊張してますよー!」
「だはははは、そうだろうなぁ! そうだろうなぁ!! なんせ俺達一家はこの辺じゃ一番デカい盗賊団だからなっ、なぁおい!」
パンの人がおそ松に向かって話しかけるとおそ松もノリに調子良く乗って頷く。
「いやぁ、ほんっとそうッスよねぇ! デカイ、マジでデカイ!! ビックリする程デカくてビックリするっ」
機転どこ行った。
デカイしか言ってねぇコイツ。
「だろだろ?! やっぱ仲間はわかってんなぁ~ぎゃはははは!!」
パンの人、お酒飲んでて良かった。
おそ松の単純な馬鹿な返しに満足そうな顔をしている。
「それより新入り、お前小せぇな? 身長いくつだぁ?」
パンの人ともう一人中にいて私に近寄って自分の身長と比べて見下ろしてくる。
「あ、コイツに身長の事聞くと噛みつかれるからやめた方がいいッスよ先輩」
「うわ、マジか! 威勢がいいのは悪くねぇ!小さくても盗賊だなぁおい!! もしかしてチビでも股間についてるモンはデッカイってかぁ、わーっはっはっはっは」
コイツは酒を飲んでいる、飲んでいるから殺してはいけない。
カラ松とトド松も頑張っているからムダにしてはいけない。
殺してはいけない。
「そうそう、態度もデカいし背はチビだけど腹も出てるし口も悪いし」
「は、はははは! 何言ってんす……かぁー!!」
「い゛っ」
調子に乗り始めたおそ松の足を踏んでやる。
それよりも宴の準備は終わったのだろうか、洞窟の中には窓がない為、時間の経過もわからない。