第18章 【番外編】マツノトクエスト 第十七章
「ちょっと二人共しっかりしてよぉ、ぼくらは幼馴染! ましてや姉弟でしょ?! それにいくらバーチャル世界で口くっつけたからと言ってそれはキスじゃないから! 本当の体はハタ坊の所にある訳だしね」
「そ、そそそ、そう……だな……」
「はぁ、さすが小学生が女子と言うだけでも緊張するカラ松なだけあるわ。私なんかを相手に赤くなるなんてウブすぎるにも程があるってぇの」
グッっと顔を顰めて赤くなるカラ松は下を向く。
虐めたい訳じゃないけどこのウブさを弄るのは面白いと感じてしまう私は実はSっ気でもあるのかと勘違いしそうになってきてしまう。
「次のターゲットって言ったら……チョロ松兄さんかな、なんだかんだで押しに弱いし、どう?」
「でもさぁ、仲間になってまだ一日目だよ? さすがにそんな相手に出来るかなぁ」
「チョロ松兄さんだってシコ松なんだし十分チョロイとぼくは思うけどねぇ」
ベットに私も腰かけて胡坐をかいたまま腕組みをして目を瞑る。
自分の誘惑や説得に乗るようなチョロ松は全く頭に浮かばない。
これが現実世界ならいつもは私の相談役として付き添ってくれるチョロ松だけど、今は立ち位置が違う。
……でも、そういえば昨日私の事を一番最初に心配してくれたのはチョロ松だった。
呪いの事は信用されないにしても相談として仮定の話をトド松の時にしたように話せば、なんだかんだで頼りになるチョロ松は話を聞いてくれるかもしれない。
「━━━━━━━わかった、じゃあ次はチョロ松狙いで!」
「そこでライジングが発動しない事を願うよ」
「ま、そうなったらなったでその時に考えるしかないよね」
カラ松、当初は参謀的な位置づけだったハズの男は、今は既にその文字が消され、ただのイタくて優しい男に成り下がっている。
寧ろコイツ、いつ参謀的な位置を確立したのか謎だ。
そんなエセ参謀カラ松が立ち上がると、部屋の隅へと歩いていき、どこから持ち出したのかホワイトボードをガラガラと持ってきて私達の前にセットする。
「よし、ここは作戦を考えようじゃないか」