第18章 【番外編】マツノトクエスト 第十七章
「あー、でもせめてキスくらいまではしたかったなぁああ! なぁ、チョロ松ぅ」
「いやいや、あの旦那さんやばいデカいから殺されちゃうんじゃないの? まぁ、童貞卒業出来ないなら少しくらいそういう事したっていいかなとは思うけどなぁ! あ、童貞卒業より人生が卒業しちゃうかぁ、ははははははっ」
煩い事この上ないが聞き捨てならない言葉を私は聞いた。
キスって言ったか、今。
まさに私がお前たちに仕掛けたい事じゃないか。
カラ松もトド松も、その発言を聞いて私に視線を向けている。
口の端っこでモシャモシャ深緑色の薬草を食べながら私も考える。
しかし今の私がそんな行動を起こせる訳もなく折角の機会を逃してしまいそうだ。
でもこの二人はカレンちゃんとキスしたかったって言ってるし、ここで私が言ったとしてもOKしてくれる可能性は低い。
あと、カラ松と違って私やトド松、カラ松が説明しても納得してくれる保証がない。
おそ松は私を完全に見下しているし女だとほぼ思ってない。
チョロ松は疑いやすい為か話したとしても口ではその理屈に勝てない気がする。
「ねぇねぇ、キスしたいならここにほら! いるでしょ一人!! カレンちゃんじゃないけど丁度いいものがさっ」
トッティーーー!!サンキューだ!丁度いいモノ扱いされてるけど今は感謝しておこうではないか。
「え、一人? なに言ってんのぉトド松」
「一人って誰の事ぉ? 俺達の他に女の子なんかいたっけかなぁ?」
くそっ、オラつきチョロ松!!
ここに草食ってる女子いるだろ!!!
「あー……ナス子。今だけはもう少し上品に食べた方が……」
苦々しい顔で回復薬を食べている私をカラ松がまるで女子力ないと言いた気に見下ろしてくる。
元からない女子力も、今の状態だともっと0に等しいものかもしれない。
そうだよね、だってパッシブスキルの魅了とか限りなく低いみたいだし。
なんというリアルを追求しちゃってるゲームなのよこれ。